
カータン『ビバ女の古』~マンホールの話
カータン著『ビバ女の古』を読んで、自分の心の奥にあった“マンホールの蓋”に触れた気がしました。夫婦のこと、育児のこと、親の死…ふとした瞬間に開いてしまう蓋。その下には、整理しきれない感情が眠っている。双子育児と父の死が重なった日々の記憶、思い出の写真すら見られなかった私。そんな自分の気持ちとも向き合えたのは、カータンが“被害者にならないヒロイン”として歩む姿を見せてくれたから。年齢に関係なく、誰の胸にもあるマンホール。それをそっと見せてくれる、そして「それでも前を向こう」と思わせてくれる一冊でした。